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長文、申し訳ない。さわのクンが関心をもっていると思って。情報です。
◆住基ネットの違憲性指摘 個人情報の削除命じる 金沢地裁(2005年5月30日)
http://www.sankei.co.jp/news/050530/sha044.htm
住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)は、憲法が保障するプライバシー権や人格権を侵害し違憲として、石川県の住民28人が、住基ネットに提供された個人情報の削除と国などに1人当たり22万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、金沢地裁の井戸謙一(いど・けんいち)裁判長は30日、県と地方自治情報センターに原告住民の個人情報を削除するよう命じた。
原告が求めた損害賠償については「公務員の職務行為が国家賠償法上違法と評価されるのは、住民基本台帳法の違憲性が誰の目にも明らかである場合に限られる」として、「国などに、運用面での違反は認められない」として請求を退けた。
判決理由で井戸裁判長は「憲法13条が保障するプライバシー権には自己情報コントロール権が重要な一内容として含まれ、住基ネットがそれを侵害している」と指摘。
「自己のプライバシーの権利を放棄せず、住基ネットからの離脱を求めた原告に適用する限り、住基ネットは憲法13条に違反する」と違憲性を認定した。
また、自己情報コントロール権に含まれるとした本人確認情報のうち「氏名、住所、生年月日、性別の4情報は秘匿を要する程度は高くないが、住民票コードとその変更情報は、各種の個人情報を集めることができるため、秘匿を要する程度が相当高い」と指摘。「住民が行政機関の前で丸裸の状態で、人格的自律が脅かされることは容易に推測できる」と述べた。 住基ネットの安全性については「安全対策の不備で、住基ネットへの不当なアクセスや情報漏えいの具体的危険があるというのは困難」と指摘。ただ、全国の市区町村で個人情報の保護措置が確実に実施されているかは疑問だとも述べた。
また、「県などは、法令の根拠なく原告らの個人情報を管理していることになる」として、プライバシーの権利に基づく住基ネットの差し止め請求権も認めた。
住民が住基ネットからの離脱と国などに賠償を求めた訴訟は全国13地裁で提訴され、判決が言い渡されたのは金沢地裁が初めて。
国側は「自己情報コントロール権は憲法で保障された権利とはいえない。情報保護の措置も10分で、プライバシーの侵害もない」と反論していた。
≪住基ネット訴訟判決骨子≫
一、県は原告らの本人確認情報を住民基本台帳ネットワークの磁気ディスクから削除せよ
一、憲法13条は人格権としてプライバシー権を保障しており、自己情報コントロール権はその内容に含まれる。住基ネットは自己情報コントロール権を侵害しているが、この権利は公共の福祉のためには相当の制限を受ける
一、便益とプライバシー権のどちらを優先するかは、各個人が自らの意思で決定すべきだ。プライバシーを優先する原告らに適用する限り、住基ネットに関する法律の各条文は憲法13条に違反する
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「問題外の内容だ」「制度がガタガタになってしまう」。住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)を所管する総務省自治行政局。住基ネットからの個人情報削除などを認めた30日の金沢地裁判決に担当者らは、首相官邸や法務省など関係省庁との緊急協議や報道各社からの問い合わせに追われた。
総務省ではこの日、判決の傍聴のために同地裁に職員を派遣しており、一報はこの職員の携帯電話から入った。住民側敗訴を想定していた総務省側にとっては大きく予想を外れた内容。政府を挙げて利便性向上をPRしてきただけに、担当幹部は「判決文を精査してからコメントを出したい」と言うのが精いっぱいだった。
「憲法判断にまで踏み込んでいるが、制度の根本から覆しかねない判決で心外だ」と懸念の声、「当然、控訴です」と強気の声も聞かれた。
(共同通信)(サンケイ新聞の記事)
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